炬燵開きのSmile

2018年11月15日 | (木)青野友彦

先週のこの時間に「旧暦では10月に入りました」というお話をいたしました。旧暦10月には「小春」という呼び名もあって「小春日和」という言葉もそこからきているんでしたね。先週木曜日から週末にかけては小春の異名の通り暖かい陽気が続きましたが、今週に入って、やはり冬に向かっているんだなあと思わせる気温になってきています。

浜松の昨日の最高気温は18.6度。20度に届きませんでした。今日も日差しは穏やかなものの最高気温はおなじくらいでしたし、最低気温は昨日より3度下がって9.8度、10度を割り込んでいます。この先、気温は右肩下がりで日に日に低くなっていく予報で、冬を感じる機会が増えそうです。

こうなってくると暖房器具の出番ですよね。すでに朝晩は暖房をつけているというかた、多いんじゃないでしょうか。ところで、「海開き」ならぬ「炬燵開きの日」があるのをご存知でしたでしょうか。じつは、今日がその炬燵開きの日なんです。ただし「11月15日が炬燵開きの日」なのではなく、この日付は毎年変化します、それは、旧暦と干支の組み合わせで決まるものだからなんです。

今年もあとひと月半、そろそろ来年の干支が気になりだすころですよね。来年は亥年です。そして、年だけでなく、月や日にも干支が割り振られていると以前お話したことがありますね。今ごろの風物詩である「酉の市」も、今の暦で11月の「酉の日」に開かれるものです。では旧暦10月の干支は何かというと、来年の干支とおなじ、つまり「亥の月」です。そして、旧暦10月の最初の「亥の日」、すなわち「亥の月の亥の日」が「炬燵開きの日」とされていて、それが今日なんです。

旧暦の十月って冬の最初の月ですから、暖房器具を使い始めるのにふさわしい季節ではあります。でも、なぜ「亥の日」なのか。その理由は古代中国大陸から伝わった「陰陽五行説」にあります。自然界のあらゆるものを陰と陽にわけるのが陰陽思想、さらに、万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるとするのが五行説。このふたつが一体となったのが陰陽五行説です。十二支にもこの考えは当てはめられていて「亥」は、陰陽説では「陰」、五行説では「水」にあたります。水は「火に打ち克つ」性質であり、陰は「穏やかで湿潤」な性質です。

炬燵に限らず暖房器具全般には「火」がつきものです。火は生活に欠かせない、とても役に立つありがたいものですが、その反面、ひとつ間違えればたいへん危険なものでもあります。したがってこれを適切に制御しなくてはなりません。そこで、十二支の「亥」には火を穏やかに押さえて制御する働きがあるとされていたことから、火を使う囲炉裏や掘り炬燵などを「亥の月の亥の日」に使い始めることで防火を祈った、こういうことのようです。

ちなみに、江戸時代は今日が相当する「最初の亥の月の亥の日」に武家が、そして「二番目の亥の月の亥の日」に庶民が暖房器具を出したと言われているようですが、いまはそんな区別はありませんし、そもそも日付にしたがって暖房を使い始めなきゃいけない理由も、じっさいのところはないっちゃないです。だいいち「二番目の亥の月亥の日」って今年は11月27日です。12月も目前、そこまで暖房を使わないでいるのはちょっと、ですよね。

ただ、昔の人は、「好きなときに好きなことをする」ことよりも、「決まったときに決まったことを当たり前にする」ことに美を見い出したり粋な行動と感じる傾向があったようで、まあ、それには相当な確率でやせ我慢が含まれていただろうとも思われますが、日付に意味をこめて、その意味に従う、この感覚は現代のぼくらにも通じるものですよね。

今日は、昔の人が暖房器具を使い始める日だった。
そんなことを思いながら、季節の移ろいを感じてみるのもいいかもです。

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と、そんな話題からスタートした、2018年11月15日のSmile on Radio。
登場いただいたのは…

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Today's Smile
炬燵開きのSmile

職場体験学習で朝からFMハローに来てくれている浜松市立曳馬中学校2年生のみなさん、水谷 藍さん、高林 亜弥さん、杉本 奈々雅さん、長谷川 凛くん、そして吉原 麻央さんの5人に、生放送への出演も体験していただきました!

まずは全員での挨拶と自己紹介からスタート。「職場体験でFMハローを選んだ理由」「自分の自慢できること」「あこがれの職業」、そして「今日ここまで体験したことへの感想」を、ひとりずつマイクを通して電波に乗せて語っていただきました。

事前に用意してもらってあった統一フォーマットの質問項目に加えて、本番中に質問した内容にアドリブで答えてもらう場面も、みんなしっかりハキハキ答えてくれました。そしてなにより、コーナースタートの「こんにちは!」とエンディングの「ありがとうございました!」が元気いっぱい!!お相手するこちらも元気をもらいましたよ(^^)

日々の勉強をはじめ、スポーツや校内外の様々な活動を通して、将来に向かって元気に歩んでいってくださいね。今日の体験が少しでも役に立ちますように!みなさんご出演ありがとうございました!

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Happiness Style

ひろみち料理教室・野崎広路先生とお電話で。

身近な食材を使って手軽に作れる美味しい創作料理を教えてくださるひろみち先生。今回は『白菜とひき肉のミルフィーユ煮』を教えていただきました。

冬場が美味しい白菜!「白菜+ミルフィーユ」という言葉からは「豚バラ肉」が連想されますが、これはひき肉をつかったレシピ。じっくり煮込んだ白菜がトロットロ〜!あんかけ仕立てだからアツアツが持続、これからの季節にうれしい、からだが温まる一品です。

好評の先生の講座は、まず「男の料理教室」が毎月第3土曜日、今月は17日開催です。そして「クッキングママ料理教室」がふだんは第4月曜日ですが今月は19日、どちらも雄踏文化センターで午前中(10:00〜12:00)開催です。いずれの教室も生徒さん随時募集中!お問い合わせは先生の携帯【090-2189-4575】までどうぞ。

また、今月24日、25日の土日にはひろみち先生の陶芸作品の展示即売会があります。先生のご出身地である森町で毎年春秋に開催される町並みと蔵展にて、ご友人との「三人展」です。よかったら足をお運びください。

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Special Guest
炬燵開きのSmile

磐田市出身・浜松市在住の漫画家、まるかわさんをスタジオに。

静岡文化芸術大学を卒業後、仕事に就きながら趣味で漫画を描いていたまるかわさん。2015年からインターネット上の個人サイトで漫画を公開するようになり、その後新書館の漫画賞を受賞し、雑誌「WINGS」で昨年から連載がスタート。このほど初の単行本「よろずの候 第一巻」が発売されました。
ちなみにペンネームは、高校生のころから大好きな、餃子が美味しい磐田市のお店の屋号からいただいたものだとか(^^)

お話は、主に天竜区を舞台に、人と妖怪がほんわか交流するオムニバスストーリー。見たことがある風景をバックに登場人物が遠州弁まるだしで会話するのでとても親近感があります。

もともと日本昔ばなしが大好きで、妖怪やタヌキやキツネが当たり前のように出てくる世界観の漫画が描きたいと思っていたまるかわさん、文芸大在学中に秋野不矩美術館を訪れた際に二俣界隈を散策し、山や川に囲まれ、風情ある商店街や古い町並みが残る風景が漫画の舞台にぴったりだと感じたそう。

また、季節感を加えることでより身近な雰囲気を出せるのではとの考えから「よろずの候」というテーマが決まったそうで、この「候」とは「七十二候」の「候」なんです(ぼくの番組をお聴きの皆さんはおなじみですね)。

「よろずの候」には古い民話に伝わる妖怪たちが多数登場しますが、伝承をそのまま漫画にするのではなく、現代の感覚でアレンジしてストーリーに組み込むかたちになっているのが興味深いところ。

たとえば日本各地に伝わる「蛇婿入り譚」。美しい男が村娘のもとに通い、不思議がった親がその男の後を追うと実はその正体は蛇で、親はその蛇を殺してしまうというお話です。天竜区にも似た民話がありますが、蛇が死んでしまうのはかわいそうだし、嫌なら最初から断ればよかったのに!という気持ちを込め「女子高生が蛇とのお見合い話を断りに行く」というお話に再構築されています。

この作品、出てくる妖怪たちがとっても可愛いんです。外観のかわいさだけでなく、性格もかわいい(上記の蛇は内気で純情な性格で描かれています)、つまり「キャラクターとしてかわいい」んですね。

実際の伝承や昔話では、妖怪は恐ろしかったり恨みを持っていたりする存在で、たとえば泥田坊(どろたぼう)という妖怪は、江戸時代の絵師鳥山石燕の画集では「怨念を抱いて死んだ老人が妖怪と化した」とされていますが、この漫画では泥だらけの人型の妖怪という見た目は似せつつ、明るく陽気でおせっかいな性格で描かれます(蛇とのお見合い話を勝手に進めたのが、じつはこの泥田坊なんですw)

人それぞれ個性があるように妖怪にも個性があってもいいんじゃないか、という思いが伝承のままではない妖怪の造形につながっているんですね。加えて、読んだひとが「自分でも仲良くなれそう」と感じるような妖怪を描きたいと考えておいでだそうで、じっさい、別のお話に登場する「ツチブミ(べとべとさん)」という妖怪などは、おもわずモフモフしたくなっちゃう造形です。

漫画に実際の風景を書き込むため天竜区各地に写真を撮りに訪れているまるかわさん、いろんな方とお話をする機会にもなり、とても楽しく、かつ勉強になっているそう。地元に住んでいる方ならではの感覚を知ることができるし、佐久間中学校の校長先生とお話した際に次のストーリの構想が生まれた、などのケースもあるそうで、これからも積極的に会話していきたいと考えていらっしゃるそうです。

「興味ある!」「読んでみたい!」という方、すでに発売されていますからお近くの書店もしくはアマゾンで購入いただけます(新書館ウィングスコミックス/630円+税)。谷島屋さん・BOOKアマノさん・本の王国さんの一部では直筆の色紙を掲示して特設コーナーを設置するなど、地元の書店さんも力を入れてくださっているそうですから、ぜひ足をお運びください。なお、一部の谷島屋さんでご購入いただくと、特典として書き下ろし漫画の描かれたペーパーがついてくるそうですよ。

webの個人サイトが始まりだったまるかわさん、今も主にツイッターで情報発信を続けていて(@marukawa81)、近況報告や短編漫画の公開をされています。個人サイトやブログへのリンクもツイッターのプロフィールからどうぞ。ツイッターで公開した漫画をまとめた「ツイコミ」もおすすめです。

「浜松の魅力をこれからも漫画の中で発信していきたい」というまるかわさん。1巻の売り上げで今後が決まるため、これからもたくさん浜松のお話が書けるように応援していただけたらうれしいです!とメッセージを伝えてくださいました。みなさま、ぜひ応援お願いします!

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とむさんのMy Choice Time
木曜日は、時代や世代を超えて輝き続けるサウンドをピックアップしてお届けしていきます。
今日は、日本のフォーク史に残る一枚。高田渡、1971年のアルバム『ごあいさつ』を特集しました。
音源にトラブルが発生してしまい、7曲お届けする予定でしたが

◎ごあいさつ
◎コーヒーブルース
◎自転車にのって
◎生活の柄

の4曲をお聴きいただきました。(おかけできなかった曲はまたの機会に!)

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お聴きいただいたみなさま、ご出演いただいたみなさま、ありがとうございました!
また来週〜〜(^-^)ノシ

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